特別講義 講師:スティーブン・アピチェラ=ヒッチコック/ Stephan Apicella-Hitchcock

10日(土) 15:30-17:00 1F 第一講義室

プロフィール

ニューヨーク在住。写真家、マルチメディア・アーティスト。
文学士号をハンプシャー・カレッジ(ハンプシャー)、美術学修士号をロードアイランド・デザイン学校(NY)で取得。
ケンタッキー大学(KY)、マサチューセッツ大学(MA)等で教鞭をとる。
現在、フォーダム大学(NY)のアーティスト・イン・レジデンスの一員。また、2005年度には本学でも教授を務めた。
最近では上海証大現代芸術館、セビーリャ・アート・センター、中国国際画廊博覧会(北京)、ニュアート・スカンディナヴィア・アート・フェスティヴァル(ノルウェー)、アーモリー・ショウ(ニューヨーク)等で展示を開催。世界貿易センターのマンハッタン南端部文化議会が行う、ワールド・ヴュー・スタジオ・レジデンシー・プログラムに在籍中に、ハーバード大学、ホイットニー美術館で自作品についての講演を行った。

 

バスター・キートンがドアを出て行く様子を見たことがありますか?彼はまず右に向くと、突然回れ左をして、また次にかかとでくるっとまわって急に方向転換して、一番最初にむいた方向、右の方向に去っていくのです。このほんの数秒の間で行われる彼の目的意識、突然の逸脱、気づき、行動の修正、の流れはとても印象的です。見る人は、この喜劇的一瞬の俊敏な身体だけでなく、そこに、欲望、失望、その後に来る補い、といった凝縮された一連の感情の動きを見て取れるでしょう。それはまさに古典的な物語の要素です。ある意味では、このように実際の現実が欲望を押し沈めてしまうときに起こる即興的要素というものは、このプロジェクトの試金石の骨組みでもあるのです。いずれにせよ、これらの点は、玄関口の一瞬から、ティレニア海での数年に置き換えられるような発展性を持っています。