東京藝術大学 音楽環境創造科

東京芸術大学 アートDX 芸術未来研究場展2025

後藤英教授が「スケルトニクス」とレーザーを用いたパフォーマンスを行います。
会場: 東京藝術大学 上野キャンパス 第二ホール
日時(上演時間): 2025年11月30日(日) 10:30–11:00 12:30–13:00 14:00–14:30
17:00–17:30
詳細
協力:株式会社ロボットライド(スケルトニクス)https://skeletonics.com
後藤研究室 https://gotolabedu.geidai.ac.jp

作品について

Da Viunchi’s Robot — A Will Dwelling in Shadow
(ダ・ヴィンチのロボット ~影に宿る意志~)
・後藤英/コンセプト、ディレクション、作曲 (Suguru Goto / Concdept, Direction,
Composition)
・秋山大知/レーザーテクニック (Daichi Akiyama / Laser Technician)
・田中誠人/テクニカルアドバイザー (Masato Tanaka / Technical Advisor)
・葉聖屹/テクニカルアシスタント、パフォーマンス (Shengyi Ye / Technical
Assistant, Performance)
・張楊/テクニカルアシスタント、パフォーマンス (Yang Zhang / Technical
Assistant, Performance)
・鄭琳山/テクニカルアシスタント (Linshan Zheng / Technical Assistant)
・李瓊宇/テクニカルアシスタント (Qiongyu Li / Technical Assistant)
・顧昊倫/音響 (Haolun Gu / Sound Engineer)
・趙森/音響 (Sen Zhao / Sound Engineer)

本作品は、ロボットライド株式会社が開発した外骨格型ロボットスーツ「スケルトニクス」を用い、パフォーミングアート、メディアアート、デジタルミュージックを融合させた新たな舞台表現を創出するものである。スケルトニクスは、装着者の動作をリンク機構によって拡張し、全高2.5~3メートルの巨大な身体を人力で操作できるユニークなロボットであり、その圧倒的な存在感は芸術表現の装置としても有効である。
東京藝術大学後藤研究室では、同ロボットにモーショントラッキングセンサーを装着し、動作をリアルタイムで音や映像に変換する実験を進めてきた。DMXやレーザー演出と組み合わせることで、音・映像・身体の統合的表現を実現し、「機械と人間の融合による身体表現」を追求している。
本作品は、テクノロジーを身体の延長と捉えた芸術表現の実験である。観る者の感覚や認知に作用する未来型パフォーマンスの構築を目指す。

『ダ・ヴィンチのロボット ~影に宿る意志~』

本作品は、ルネサンスの天才レオナルド・ダ・ヴィンチが実際に設計・制作した「ロボット騎士」の歴史的構想を起点とし、現代のテクノロジーと芸術を融合したインスタレーション型音楽劇である。1495年頃、ダ・ヴィンチは中世の騎士の鎧を模した自動機械を滑車とケーブルによって構築し、実際に腕や首、脚部が動く“人間機械”を制作した。
この「ロボット騎士」の思想と非常に類似しているのが、現代日本で開発されたスケルトニクス(Skeletonics)である。スケルトニクスは、ロボットライド社が開発した非電動型の外骨格型拡張スーツであり、使用者の身体の動きをリンク機構によって拡張し、そのまま巨大な身体へと伝達する。驚くべきことに、ダ・ヴィンチのロボットとスケルトニクスはいずれもモーターや電子制御を一切使用せず、「人の力そのもの」を動力とする構造になっている。この構造的類似は、時代を超えて「身体の記憶」がいかに機械と接続されてきたかを象徴している。
本作では、スケルトニクスを装着した演者が、モーショントラッキングを通じて、リアルタイムに音と光を生み出す。演者の動作は、サウンドスケープを生成し、照明(ムービングライト/ディマー)、レーザー、プロジェクターを統合制御しながら、空間全体を「影の劇場」として変容させていく。
影は実体よりも先に動き、記憶を語り、時に観客の影と交差し、共鳴する。本作品は、「光と影、記憶と身体、機械と芸術が交差する“小さな音楽劇”」として構成され、詩的かつ身体的なメディアアート体験を創出する。