東京藝術大学 音楽環境創造科

アーティスト・クロストーク《オンライン》#03 アサダワタル×山川冬樹「会えない日々と、気配のゆくえ」

2020年、新型コロナウイルス感染症の流行により、私たちは「ソーシャルディスタンス」を保たなければならない生活の中で、人と人との「接触」を避けることを余儀なくされてしまいました。もし、私たちがコロナ禍で得たものがあるとしたら、それは、今そこにある「気配」に思いをはせるようになったことではないでしょうか。たまの外出で触れる空気が、特別新鮮に感じられる「気配」、かつて何気なくとっていた他者とのコミュニケーションが、かけがえのないいとおしいものである「気配」。

音まちのプロジェクトの一つである「千住タウンレーベル」のディレクター、アサダワタルは、なかなか収束の見込みが立たない中での「人と人とのつながり」を模索し、千住の文化サロン「仲町の家」で新しい営みをはじめました。ちょっとした想像力で、思考を少し遠くに飛ばすような19の質問に、その場から見えるものや、聞こえてくる音、肌で感じる空気などの「気配」とともに、「声」で答えていただくという、その名も、「緊急アンケート《コロナ禍における想像力調査 声の質問19》」。

今回のクロストークでは、「声の質問19」のディレクターであるアサダワタルと、現代美術家でホーメイの名手である山川冬樹とともに、リモート時代の想像力のありようや、アートにおける人と人との交通の意味について、「声の質問19」の起点である「仲町の家」で、コロナの日常から少しだけ離れた異空間の「気配」を感じ取りながら語り合います。

▶︎概要
日時:令和3年2月11日(木・祝)16:30~18:00頃まで
出演:アサダワタル(文化活動家・アーティスト)、山川冬樹(現代美術家・ホーメイ歌手)
モデレーター:
LanaTran(東京藝術大学 大学院国際芸術創造研究科博士課程 熊倉純子研究室)
冨山紗瑛(東京藝術大学 大学院国際芸術創造研究科修士課程 熊倉純子研究室)
視聴方法:音まちYouTubeチャンネルからライブ配信
視聴料:無料(通信料はご負担ください)
※ 内容は変更となる場合がございます。予めご了承ください。

▶︎「アーティスト・クロストーク」について
2020年度に活動10年目を迎える「アートアクセスあだち 音まち千住の縁(通称:音まち)」が企画するトークシリーズです。これまで「音まち」に長く関わってくださったアーティストの方々と、活動の垣根を超えた様々なゲストとが雑談のように語らいながら、トークテーマを掘り下げていきます。

#1、#2の記録動画はこちらからご覧いただけます
※#01「野村誠×Nadegata Instant Party 『ひょうたんからこまがでるような話』」
※#02「大巻伸嗣×地域アート?『アートなんてわかんねぇ!』」

▶︎声の質問19 / 19 VOCAL QUESTIONS について
アサダワタルが、2020年の緊急事態宣言発令期に友人知人に送った音声による質問シリーズをきっかけに開始したコミュニケーション様式。コロナ禍という未曾有の日常を、私的かつ詩的な「質問」で包み込み、テキストではなく「声」のやりとりを通じて、自分と出会い直し、誰かとつながる。2020年秋より、仲町の家を起点に、「緊急アンケート《コロナ禍における想像力調査 声の質問19》」を試行中。

主催:東京都、公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京、東京藝術大学音楽学部・大学院国際芸術創造研究科、特定非営利活動法人音まち計画、足立区
※ 本事業は「東京アートポイント計画」として実施しています。

山川冬樹(現代美術家・ホーメイ歌手)
1973年ロンドン生まれ。視覚、聴覚、皮膚感覚に訴えかける表現で、音楽/現代美術/舞台芸術の境界を超えて活動。己の身体をテクノロジーによって音や光に拡張するパフォーマンスや、トゥバ共和国の伝統歌唱「ホーメイ」を得意とし、これまでに16カ国で公演を行う。現代美術の分野では、マスメディアと個人をめぐる声の記憶を扱ったインスタレーション『The Voice-over』、自らが発する「パ」という音節の所有権を、一人のアートコレクターに100万円で販売することで成立するパフォーマンス『「パ」日誌メント』(2011~現在)などを発表。ハンセン病療養所(大島青松園)や、帰還困難区域(グランギニョル未来のメンバーとして)での長期的な取り組みもある。ごく最近の発表に、東京湾海上でのライブ・パフォーマンス『DOMBRA』など。https://openwater-mizuhiraku.com/