東京藝術大学・先端藝術表現科教授、藝術情報センター長兼任の古川聖先生によるゲスト講演が12月4日に行われます。
古川先生はアルゴリズム作曲と人工知能AIの分野における第一人者であり、今回は人工知能AIと音楽と「サウンドロイド」についてのお話をしていただきます。
ちなみに後藤英研究室では今学期、「人工知能と作曲」というテーマで研究、作品制作が行われています。その成果発表として2019年2月19日に東京芸術大学、音楽環境創造科にて、鈴木俊哉氏と弦楽四重奏による、学生達の作品も含む新曲発表のためのワークショップ+演奏会が行われます。
※学外の方で聴講を希望の申し込みは定員に達したため締め切りました。
タイトル: アルゴリズム作曲と人工知能AI
日時: 2018年12月4日、14時より
場所: 東京芸術大学 音楽環境創造科 千住キャンパス、第1講義室
〒120-0034
東京都足立区千住1-25-1
http://www.geidai.ac.jp/access/senju
概要:
アルゴリズム作曲からAIへ
古川の1990年代以降、フラクタルなどの非線型構造の自己組織化のプロセスを音構造にマッピングしたアルゴリズム作曲から、11月に公開する人工知能を用いた音/音楽の自動生成システム「サウンドロイド」までの流れを実例をみながらたどる。
人工知能AIと音楽と「サウンドロイド」
音楽を形式化する、つまりシンボルや数を使って、人間からは独立した音楽の知識表現を行うような自動作曲、アルゴリズム作曲という行為自体、人工知能AIを志向しているとも言える。数的な構造のように全く音楽と関係ない構造をモデルとして使用する以外、現在または過去の音楽の構造(メロディー、対位法、和音、音階、モード、リズム、分節化、階層性 etc.)を形式化、音楽の知識表現するようなアルゴリズム作曲は全て、人工知能AIと関係している。人工知能AIの研究の変遷、発展と並行し、それらの成果を生かした音楽研究、音楽制作は常に継続的に行われてきた。ニューラルネットワーク、制約プログラミング、パターン照合検索、フラクタル、1/f、ベイズ統計学、形式文法(生成文法を含む)など、様々な試みが行われている。
現在、再び音楽と人工知能AIというトピックスが活気付いている、その理由は人工知能AIの応用の諸分野が活気付いているのとほぼ同じもので、機械学習技術の発展によりビッグデータを扱う機械学習、ディープラーニングなど、AI領域における新たな展開にある。さらに音楽に関しては特に脳科学の進展により、音楽の脳内認知のプロセスがより詳しくわかってきたこと、それに相俟って、音楽の重要な内実である音楽情動のメカニズムの解明が大きく進んできた事にもよる。サウンドロイドはこの様な人工知能AIと脳科学の新たな展開の中、始められた。
略歴:
高卒後渡独、ベルリン芸術大学,ハンブルク音楽演劇大学にてイサン・ユン,ジェルジ・リゲティのもとで作曲を学ぶ.作曲・音楽理論修士、スタンフォード大学で客員作曲家、ハンブルク音楽大学で助手、講師を経てドイツのカールスルーエ ZKM でアーティスト研究員.作品は,新しいメディアや科学と音楽の接点において成立するものが多く、1997 年のZKM の新館のオープニングでは委嘱をうけて,マルチメディアオペラ『まだ生まれぬ神々へ』を制作・作曲.多くの受賞歴がある。東京藝術大学・先端藝術表現科教授、藝術情報センター長兼任