地歌箏曲 理論と実践プロジェクト その2「内発的発展論」と伝統芸能の再創造 —「近代」を超える ことば ・身体・コスモロジーを求めて— 【終了】

社会学者の鶴見和子氏(1918-2006)は、アメリカで西欧の社会発展理論である「近代化論」を学びましたが、水俣病事件の現地調査で、その「近代化」がもたらした惨劇を前に思考転換に至りました。その省察はやがて、「近代化」を唯一の発展指標とせず、それぞれの地域が、社会・文化の伝統や風土の内から主体的に発展像を模索する「内発的発展論」に結実します。そしてその理論は、グローバル化時代を見据え、内発的発展を遂げる多様な社会・文化間の交流と共存の道を探る「萃点」・「曼荼羅」の思想と結びつく中で深められて行きました。その共生の思想は、人間のみならず、「近代」が失いつつある自然界の生命との関係・交感へも及び、「内発的発展論」は、アニミズム的精神を基底に据える新たな文明論へと発展します。この「内発的発展論」におけるキー概念の一つが、「伝統の再創造」です。発展の主体が、世代から世代へと受け継がれて来た「型」としての伝統を、時代の状況と向き合いながら作り変えて行くべく創造性を発揮させるところに、西欧を主体とする「近代化」への対抗モデルとしての内発的発展の道が開かれる―そして、その創造の中からやがては、「近代」を超克する叡智が顕われることを、鶴見氏は次世代に託したように思います。3.11の経験から、あらためて「近代」という世界・文明観が問い直される今、「地歌箏曲 理論と実践プロジェクト その2」では、「内発的発展論」を再検証します。その今日性を検証すると共に、事例検討として、社会の近代化の波にもまれつつも、独自の技法とコスモロジーを伝承し続ける能の世界に注目します。地歌箏曲の近代との比較も交え、伝統芸能の「発展」の展望と、現代社会と向き合う「創造」について、各界の第一線で活躍をされる方々をお招きして考えます。

日時

2013年6月8日(土)15時開演
(14時30分開場・18時終了予定)

料金

無料(予約不要)

会場

東京藝術大学 千住キャンパス 第7ホール(第一部)/スタジオA(第二部)

スケジュール

 第一部 研究公演 ― 能と地歌箏曲の交差・萃点から
 新作能×地歌の再創造
 新作 (2012) 不知火 ― われ、蒼き苦海の底より咲き出で 
(原作・詞章 石牟礼道子 作、新作能『不知火』より)
 佐藤岳晶 作曲/ 歌・三絃 佐藤 文岳晶   笙 中村 華子  
 明治期の箏曲の内発的発展の精華
 箏曲  楓の花 松阪春栄 作曲  尾崎宍夫 作詞
 箏高音 米川 文清(特別出演)   箏低音 佐藤 文岳晶

 能舞×地歌のコラボレーション
 能舞と地歌  楫枕  菊岡検校 作曲  橘遅日庵 作詞
 出演・作舞 野村 四郎(特別出演)
 演出 笠井 賢一/歌・三絃 佐藤 文岳晶  尺八 安島 瑶山

 第二部 シンポジウム
 同時代を生きる古典、社会を映す芸能 ―「近代」に挑む能の伝承と内発的創造性
 笠井 賢一(演出家・能楽プロデューサー) 西川 潤 [映像出演](経済学・早稲田大学名誉教授)
 毛利 嘉孝(社会学・東京藝術大学准教授) 佐藤 岳晶(東京藝術大学 博士課程) 

主催

地歌箏曲 理論と実践プロジェクト(東京藝術大学大学院 芸術環境創造 毛利嘉孝研究室 + 佐藤岳晶)

助成

武藤舞音楽環境創造教育研究助成金

お問い合わせ

毛利嘉孝研究室:geidai5@gmail.com (メールの件名に「6/8」と明記の上、お問い合わせ下さい)