「Music practice in Japanese Museums-美術館における音楽効果の実例と将来的可能性—」/木村はるか

論文

美術館の展覧会とリンクした会場音楽の制作やコンサート、サウンドデザインについて研究している。美術館における音楽導入の過程と現状、目的、問題点等を考察することで、美術館と作家・来館者・社会とのより充実した連携方法を提示することが目的だ。

参考文献に加え、音楽的な試みを実施している美術館のアンケート調査及び取材への回答を主な資料としている。

本論の流れとして、第1章では美術館に音楽が導入された過程、目的を美術館の変化に沿って考察し、第2章では音楽演出を行っている美術館へのアンケート調査の結果をまとめている。第3章から第5章では近年、美術館で行われている音楽的な試みとその動向をケーススタディ形式で提示した。提示方法として、複数の美術館へ実施したアンケート及び取材の結果から、音楽効果の目的を「教育的普及」「作家性、コンセプトの発露」「美術館のイメージ戦略」の3つに予め分類し、各目的に沿った事例紹介、問題提起と考察を行なっている。

これらの章を通して土台と現状を明示した上で、第6章の結びでは美術館の将来像と音楽の関係性を考察した。