舞台作品
失くす。
空白はそのままに。
沈黙の強度に耳を傾け、切実を知る。
植えつけられた前提。美化された過去。歪められた真実。
変わらないことへの安堵と絶望。
一体何を失うのか、いつから失われていたのか。
本当はもともと失うものすらないのかもしれない。
繊細に感じる。
例えばママを喪失すること。
肌の傷ひとつひとつに名前をつけること。
消えてしまうのが怖い。
その一方でなくしてしまいたいと願う。
言葉も情感も経験も
不確実なまま両目からこぼれおちる。
だから
深入りして
めちゃくちゃに傷つけたあとに
愛撫して
もう一度出会いたいと、