ピアノによる共鳴のための音楽《持続》/ 庄子渉

コンサート作品

ピアノの弦の振動をマイクで取り出し、コンピュータの処理を経てスピーカーから出力することで、弦を共鳴させフィードバックを持続させる。弦の振動に含まれる倍音成分によって新しい共鳴が発生し、またそこから倍音が生まれることで新しい共鳴が発生する。いくつかの共鳴の過程が重層的に進行し互いに作用しあうことで、響きは自律的に展開していき、ピアノはその過程に介入するための装置として扱われる。これは、現象としての共鳴を用いて、音楽の即興性や聴き手の能動性を空間に顕在化させる試みである。