豊澤勉/卒業論文
今日、私たちの生活の中で「音楽を聴く」という行為が身近なものになっている。音楽を聴く行為は、自らの生活の中でのゆとりを作り出すことに関係し、自分の生活に豊かさを与えることに繋がっているのではないかと考える。そして近年において、SONY社のWALKMANやApple社のiPodなどに代表される「ポータブルオーディオプレイヤー」により、音楽を自由な環境で楽しむことができるようになった。
その一方で、近年ではポータブルオーディオプレイヤーを屋外で使用したことによる事故や、ヘッドフォンやイヤフォンで大音量の音楽を聴くことによる聴力低下の危険性などが国内外で多く報告されている。ポータブルオーディオプレイヤーの普及によって、これらは無視できない社会問題となりつつあり、改善すべき課題でもあると筆者は考える。
以上のことから、本研究では、屋外の様々な騒音環境を東京藝術大学千住キャンパス内にある音響製作スタジオに再現し、その環境の中でヘッドフォン、イヤフォンを使って音楽を聴くという実験をおこなった。また、得られた実験結果を分散分析、多重比較(Ryan法)、t検定を用いて分析をおこなった。その分析結果から、無音環境下と騒音環境下では音量の増加が見受けられたが、各騒音環境間での音量の増加は見受けられない、という結論を得た。