空中
――複数人による痕跡の交換――

山口礼子/企画・展示

 『空中』は、複数人の作り手が互いの痕跡を引き継ぎながら制作をおこなう、プロセス共有企画。
 身体の振る舞い、それ自体をどうにかして残すことはできないか―という出発点のもと、西尾千尋+山口礼子の共同企画としてスタートした。
 企画の第1回目として、アーカススタジオ(茨城県守谷市)にて、神村恵(振付家/ダンサー)、しばたみづき(アートの実験者)を招いて実施した。
 メンバーは身体や知覚といった共通テーマを扱っており、それぞれが一定期間スタジオに訪れ、その場に残る他者の痕跡をたよりに制作を行い、その痕跡をさらに次のメンバーへと引き継ぐというルールのもと行った。
 痕跡を交換することによって、普段伺い知ることのできない他者の制作過程を共有することや、またその過程の中で他者からの介入を受けることによって作り手にどのような変化が見られるか―ますますエゴを強めるのか、それとも別のリアクションをとるのか―を観察することを目的とした。
 企画の第2回目として、卒展会期に合わせ旧・原田米店(千葉県松戸市)にて実施。

profile

山口礼子:プロジェクト2所属。
1982年岡山県生まれ。身体と平面の境界線をさぐるべく、ドローイングを用いた制作活動を行っている。主な作品に風景の輪郭線を取り出して窓ガラスに描く 『風景のトレース』や、身体の軌跡をしるす『身体/フレーム』など。